真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「作者不詳(上) ミステリ作家の読む本(三津田信三/講談社文庫)」、読了。
僕、三津田信三は偶然に見つけた奈良市杏羅町にある古本屋が気に入り、そこの常連となった。暫くの後、そこの店主から一冊の同人誌を貰う。同人誌のタイトルは「迷宮草子」と言い、その中には7編の短編小説が収録されていた。僕は友人の飛鳥信一郎と共に、その短編を読み始めるが。
如何にも三津田信三らしいホラーとミステリーが融合された作品だ。作品の要となる「迷宮草子」と言う同人誌はいわくつきの本で、そこに収録されている短編を読むたびに、その短編に似合った怪奇現象が起こる。その怪奇現象から逃れるには、その短編の謎を解かねばならない。つまり、短編小説=出題、それを読んでる側=解答となる訳だ。この構成が実に面白い。ちなみに、飛鳥=ホームズ、三津田=ワトソン…っと言った感じになる。
「霧の館」
立ち込める霧と迫りくる夕闇の為、道に迷った僕が、辿り着いた洋館で薄気味悪い体験をする話。ドッペルゲンガーを題材にした話だが、そのゴシックホラー的と言うか、西洋怪談的な雰囲気とストーリーが完全に私好み。しかも登場する儚げな白いドレスの少女が、これまた完全に私好みだ。そんな訳で、相当に楽しんで読んだ作品だった。解答編も意外な事実があったし、それなりに納得できる回答だった。但し、同時に二人の少女を目撃するシーンの回答は、いくらなんでも納得できないなぁ。
「子喰鬼縁起」
子喰鬼と言う妖怪伝説が残る朱雀神社。この神社の夏祭りの日に、見世物小屋から赤ん坊が誘拐される話。前半は和風伝奇もののような展開、後半が密室下における人間消失ミステリーになっている。そんな訳で、後半が単なるミステリーになっているので、まったく怖くないの難。…なのだが、解答編になってからむちゃくちゃ怖くなる。特に三津田が書庫に閉じ込められるシーンの怖さと言ったら。ミステリー部分の謎解きも納得いくし、かなり面白いエピソードだ。
「娯楽としての殺人」
ある下宿で他殺とも自殺ともつかない事件が起こる。そこに住んでいる女子大生が、親友殺しを計画する者が書いた「娯楽としての殺人」という原稿を手に入れたため、彼女は下宿の住人の誰かが犯人と推理するが。…会話や原稿から犯人を探していく純粋なミステリー。ホラー要素がまったくないので、少々物足りない。とりあえず、解決編では怪奇現象が起こるが、これまでも二つのエピソードと比べれば、恐怖度が低い。ラストの謎解きもそれほど意外な真相でなかった。一応、延々と語られるミステリーやホラーのウンチクが最大の読みどころだろうが、(私が)すべて知っている事なので、特に面白いとも思えなかった。些か、期待ハズレ。
「陰画の中の毒殺者」
山の避難所で老人が語った一つの話。それは一人の女性と、彼女を慕う五人の男性の話。そして起こる毒殺事件。…本エピソードは完全に純粋なミステリー。それも私が苦手なパズルミステリー(パズルミステリーと言うのは、どうも冷たい数式だけで、そこに血の通ったドラマがないので苦手だ。)。しかもホラー要素がまったくなく、些か拍子抜けした。そう言う意味もあって、本エピソードはそれまでのエピソードと比べて異色。怪奇現象が起こらないと言うのもそうだが、真相の回答が三つ示され、そのどれが正しいのか最後まで分からない(個人的には明日香の回答が一番正しいように見えるが)。これって、どう言うことなのか?、後々の伏線になっているのか?。何となく、釈然としないものがある。そして、この後、「迷宮草子」に関しての事実が少しだけ分かるが、だからと言って、光が見えてくる訳ではない。いよいよ混迷を呈してきた。はたして、この作品はどこに辿り着くのか?。まったく先が見えない。これは続けて、下巻を読むしかないなぁ。とりあえず、明日香萌え…っと言う事で(笑)。下巻へ続く。
今日のアニメ
・戦国乙女~桃色パラドックス~ #1「転送乙女」…今流行の「何でも女性化」作品。この手の作品って、どうも好きになれない。しかも、本作の内容自体も好みでない。あと、主人公がバカすぎるのも良くない。そんな訳で、視聴中止。
・スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター- #24「白き魔星へ」
・ひだまりスケッチ×365 #5「3月25日 おめちか」(再々見)
今日の映画
・完全なる飼育 メイド、for you(ゴー・シネマ/2009年)
メイド喫茶のメイドを誘拐監禁したマンガ喫茶の店長。…って言う内容から、ウィリアム・ワイラーの「コレクター」を思い出す。実際、本作も途中まではそんな感じで展開する。ところが途中からトンでも展開の連続になり、観ていて唖然としてしまう。大体、あの状況下で惹かれあうのも納得がいかないし、ラスト近くで二人の立場が入れ替わってしまうのも「何だかなぁ」って感じだ。特に笑ったのが、ナイフを刺された男が、そのナイフを刺したまま平然と歩きまわるシーン。まったくギャグのようなシーンだが、これがシリアスなシーンだから困ってしまう。後、ラストシーンも判断に困る。普通に考えれば、心中したと言うことになるんだろうけど、何か違うようだ。どうも、本当に星になったと言ってる感じなのだ(ファンタジーのつもりか)。一応、都会に住む人間の孤独を描きたかったようだが、支離滅裂過ぎて、訳が分からない映画になっている。やっぱ、深作健太って変。「バトル・ロワイアルⅡ」のときは予算と出演者に支えられて、比較的まともだったが、それ以降はトンでも映画の連続だ。そう言う意味では、彼の存在って、現在では貴重なのかも。