真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「鳥辺野にて(加門七海/光文社)」、読了。
怪奇短編集。収録されている作品のほとんどが時代劇。…なので、ホラーと言うよりは怪談で、読み応えがある。美しい文章と、美しい風景描写も良い。
「左」(1998年)→名大工の左が右腕を失った。仕方なく、義手を作る。だが今度は右肩が腐り始めた。仕方なく…。…落語のような話。それも思いっきり残酷な。★★☆☆☆
「鳥辺野にて」(2007年)→死者の地、鳥辺野で交わされる籐太と小切丸の会話。映画のワンシーン、それも恐ろしいシーンを彷彿させる、そんな小説だ。だがそれだけ。★★★☆☆
「赤い木馬」(2004年)→中村は夜の町で少女と知り合った。少女は中村に「ルナ・パアク」と言う場所に連れていけとせがむが。…珍しく、幻想的で美しい話。悪くない。★★★☆☆
「おとむらい」(2001年)→夏の夜中。木魚を叩くような音が聞こえる。音の素養隊を確かめるために外に出ると。…短い話だが、実に不気味。★★★☆☆
「左右衛門の夜」(2004年)→人を斬った左右衛門は、その夜、廃墟と化した武家屋敷で過ごすことにした。…いや、だから、廃墟はヤバいって。はっきり言って、相当に恐い話だ。そこで起こる恐怖が最近の心霊ドラマに近く、身に迫ってくるような怖さがある。しかも、これに怪談的な因縁話を絡めているので、実に読ませる。これは傑作。★★★★☆
「墨円」(2004年)→青山様の屋敷で、上半身が女性の天上鳥の屏風を見た。だが、何故か顔が墨で塗りつぶされていた。…アイデアも良いし、最後に示される意外な真相も面白い。だが、少し物足りない。母の慈愛の物語であって、怖い話でないからだろうな。★★★☆☆
「菊屋橋」(2008年)→橋の袂に立ち、通行人の話を聞き、占いを行う「橋占」。安倍川町の四人娘の一人であるお仲が、恋人の喜助との将来を知りたくて、「橋占」を行った。…「辻占」と言うのがある。これは、偶然にそこを通った人々の言葉を神の託宣と考え、占いをする方法のこと。この占いは、辻は人だけでなく神も通る場所であるという考え方からきている。だが辻は、同時に悪霊や低俗霊も通るので、結構ヤバい占いだと言う事を聞いたことがある。つまり本作は、そのヤバい方になった話だ。それほど怖くはないが、結構薄気味悪い話で、ヘタな幽霊話より背筋が寒くなる。★★★☆☆
「阿房宮」(2007年)→田舎の食堂で、その店の隠れメニューだと思われる牛丼とモツ煮込みを食べた。あまりの美味しさに、牛を飼っている村まで行くと。…すぐにオチの予想がついたが、実は半分正解で半分間違いだった。まぁ何れにせよ、気持ち悪い話には違いないけど。★★☆☆☆
「あずさ弓」(2003年)→雨のため、旅籠に足止めをくった旅人たち。その中の一人、江戸者らしい小男が語った一つの話。彼が住んでいた長屋に、口寄せをする巫女が来た。彼は巫女に嫌がらせで、いもしない女房を呼んでくれと頼むと。…女の執念は怖い…って言う話。怖い話なのに、全体的にドタバタしているせいか、コメディに見えてしまうのが難。まぁ、だからこそ、ラストシーンが怖いんだろうけど。★★☆☆☆
「朱の盃」(2002年)→「貴公に盃取らせよう」と老人が赤い盃を出して言った。老人によると、その盃は妖獣猩々の血によって染めたものらしい。…怖い話ではない。あえて言えば、幻想談か。何れにせよ、好みの話ではなかった。★★☆☆☆
「鉢の木」(2005年)→道に迷った男が、とある神社の神主と出会った。…一種の退魔ものであるが、理屈っぽい会話で興ざめ。★★☆☆☆
「抱擁する山」(2003年)→ショートショート。旅人が観た風景を綴っただけ。評価不可能。
今日のドラマ
・大魔神カノン #8「渦音」…いつまで経っても面白くならない。もう視聴中止。
今日の映画
・ふるえて眠れ(アメリカ/1965年)
再見。久しぶりに観たけど、やっぱ面白い。確かに事件の真相も早いうちから察しが付くし、全体的にモタモタした展開なので、少々退屈気味ではある。…なので、どうしても同趣向の「何がジェーンに起こったか?」と比べたら、見劣りがする。でも、ラストシーンも味わい深いし、何よりも悲しみの女のドラマが良い。間違いなく、傑作だよ。(詳しいコメントは[本館]の方に書いてます)