真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「毒入りチョコレート事件(アントニイ・バークリー/創元推理文庫)」、読了。
ユーステス・ペンファーザー卿のもとに、試供品のチョコレートが届けられた。それをグレアム・ベンディックスが貰い、帰宅後、妻と共に食べた。すると、グレアムは気分が悪くなり、昏睡状態に。彼は一命を取り留めたものの、妻はそのまま死亡してしまった。実は、チョコレートの中にニトロベンガンが混入されていたのだ。一見単純な事件と思われたが、これが稀にみる難事件で、警察は捜査に行き詰ってしまう。そこで、6人のアマチュア探偵で構成された「犯罪研究会」が調査に乗り出すが。
とにかく、構成が良い。アマチュア探偵のひとりが事件を推理すると、別の者がその推理の欠点を示唆し、別の推理を披露する。この繰り返し。一つの事件を別の角度から見ていき、今まで気が付かなかったものを見る…って言う内容が実に面白い。はっきり言って、これは私が嫌いなパズルミステリーだ。…にも関わらず、ここまで読ませるのは作者の並々ならぬ力量のなせる技だろう。
だが、私が感心したのは、実はそんなところではない。いよいよ最後のアマチュア探偵の推理になり、遂に本当の真相が明らかになる…っと思った途端、この作品はとんでもないオチをつけるのだ。私もあまりの事に唖然としてしまった。[脱]探偵小説と言うか、[反]探偵小説と言うか、あまり類を見ないような大技を仕掛けてくる。誤解がないように書くけど、(明記されないとはいえ(笑))最後に犯人も分かるし、動機も分かる。確かに分かるのだが……。ネタばれになるので、詳しくは書けないけど、たぶん、探偵小説マニアであるほど、「これはいくらなんでも」と思うんじゃないかな。そう言う意味では賛否両論がありそう。要は「さ~て、皆さん…」っ言う探偵小説の醍醐味を味わうことはできない。でも、とんでもない結末を読むことはできる。そんな作品だ。つまり、相当な異色作だと言う訳。個人的には探偵小説の醍醐味を味わえなかった物足りなさはあったものの、ラストのアンハッピーと言うか、ダークさと言うか、アンチテーゼと言うか、そう言う部分が非常に印象に残った。
今日のアニメ
・GOSICK #17「螺旋の迷宮にその箱はねむる」
・まりあ†ほりっく あらいぶ #6「ドキワク☆ミッションすくーる☆すくらんぶる」
・ファイアボール チャーミング #7「嵐が丘」
今日の映画
・フェーズ6(アメリカ/2009年)
明らかに低予算映画だが、人類が滅亡寸前の終末世界と、ロードムービーを合わせたアイデアが面白い。しかも、それなりにサスペンスもあり、悪くない作品だ。ただ、極限下の心理描写だけで終わっているので、少々物足りない。肝心のウィルスの方にも、もう少し焦点を当てても良かったと思う。TVMではなく、少なくとも劇場用なんだから。