真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「陰陽師(夢枕獏/文藝春秋)」、読了。
安倍清明を主人公にした短編怪談集の第一弾。上質な怪談が収録されており、これを読むと映画版が如何に改悪していたかが分かる。
玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること
帝の琵琶、玄象が盗まれた。ある夜、源博雅がその琵琶の音を聞き、辿り着いた所が羅生門だった。…夢枕獏らしいエログロの描写があるものの、彼にしては比較的大人しい。そのため、上品な伝奇小説と言った感じで、好印象が持てる。平安時代の闇の描写もなかなかのもの。羅生門と言う事で、敵の正体がある程度分かると思うが、少し捻りを加えているが面白い。★★★★☆
梔子の女
妙安寺に住む僧侶が夜な夜な、口のない妖しを目撃すると言う話。…女の姿をした妖し登場の件は結構怖い。ただ、その正体が落語のオチみたいで興ざめ。★★★☆☆
黒川主
鵜匠の孫が、夜な夜な庭の堀に入り、魚を生で食う。何かにとりつかれたのか?。そして現れる正体不明の男。…何とも懐かしい感じのするよう怪談で、なかなか楽しい。グロいシーンもあるが、描写を抑えているのであまりグロと感じないのが良い。★★★☆☆
蟇
応天門に子供の姿をした妖物が出る話。…これは怖い。この本に収録されている短編の中でも一番怖かった。特に子供の姿をした妖物が門を這う辺りの怖さと言ったら。あと、牛車で魔界ともあの世ともつかない世界に踏み入れる辺りも実に不気味。★★★★☆
鬼のみちゆき
深夜、賊が牛のいない牛車を目撃した。それには、黒い直垂を着た男と白い単衣を着た女が付いていた。そして、牛車の中に美しいが異様な女がいた。賊はこの後、高熱を出して死んでしまう。…牛車が近づいてくる辺りが、実に恐い。要は悪霊ものなのだが、その悪霊誕生の秘話がちょっと面白かったりする。雰囲気が抜群に良い、怪談の良作だ。★★★★☆
白比丘尼
博雅は清明の頼みで、人を斬った事がある刀を持って、彼の屋敷にやってきた。そこに一人の、年若い尼僧のような女が笑われる。…サブタイトルから察しがつくと思うが、人魚を食って不老不死になった「八百比丘尼」の話が絡んでくる。もっともそれほど面白い話ではないけど。ところで、冒頭の雪景色の描写が美しい。★★★☆☆
今日の映画
・ネスト(アメリカ/2009年)
これは酷い。スローなうえに起伏のない展開、一向に進まないストーリー、まったくない見せ場などなど、もう観ていて退屈で退屈で。何かと見せる展開になるのが、ラスト15~20分くらい。その辺りでさえ、ほとんど盛り上がらない。はっきり言って、DVD発売が良いところ映画で、とても劇場で公開するレベルじゃない。たぶんケビン・コスナー主演だから劇場公開したんだろうな。その程度の作品だ。まったく観る必要なし。ちなみに最後の方で、「エクストロ」の宇宙人っぽい顔をした魔物が現れる(笑)。