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真夜中のティータイム

気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。

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「九尾の狐」の話が無性に読みたくなって、「玉藻の前(岡本綺堂)」を読むことにした。最初、青空文庫で読んでいたのだが、一向に楽しくないし、映像も頭に入ってこない。そのため、一旦は読むのをやめようかと思ったが、思い直し、図書館で同書を借り読むことにした。すると、これがむちゃくちゃ面白い。やっぱ、小説は本で読まないとダメだね…っと再確認した次第。

…っと言う訳で、「玉藻の前(岡本綺堂/原書房)」、読了。
千枝松と藻は幼馴染で、幼いころからよく遊んでいた。いつもは夜道を二人で歩くのだが、ある日、藻がふらっといなくなり、古塚で発見される。その夜、千枝松は天竺(インド)、そして唐土(中国)を滅ぼす妖狐の夢を見た。しかも、その妖狐の顔が藻そっくりだった。それから数年後、藻は歌詠みの才を買われて、関白の屋形へ行くことになるが。

「あらすじ」と読んで分かると思うが(それ以前にタイトルで分かるか(笑))、「白面金毛九尾の狐」の話。個人的には、数ある日本の妖怪話の中でも一番だと思っている。確かに「源頼政の鵺退治」も「酒呑童子」も「一条戻橋の鬼」の好きだが、これほどスケールが大きくて、面白い話は他にないと思う。さて本書も、まさに「九尾の狐」の話そのもので、実に楽しい。特に前半のテンポの良さと、話の面白さが素晴らしく、夢中になって読んでしまった。またサスペンスも恐怖シーンもかなりのもので、さすがは岡本綺堂っと言った感じだ。特に関係者が次々と殺されたり、狂わされたりしていく辺り、そして玉藻が正体を現す辺りはホント怖い。ところが、ところがである。中盤以降、「雨乞い」の辺りからおかしな展開になる。全体的に間延び気味なるし、肝心の安倍泰親がちっともカッコよくない。何よりも酷いのは、段々と恋愛色が強くなること。はっきり言って、この展開にはかなり恨みが残る。九尾の狐と人間の恋愛ものなんか読みたくないよ。前半が凄く面白いのに、後半腰砕けになってしまった感じだ。もっと、ちゃんとした「九尾の狐」の小説が読みたかった。

参考までに、「九尾の狐」の話の概略を。
インドでは妃華陽夫人と名乗り、中国の殷では妲己、周では寵姫褒娰と名乗り(このときの策士がなんと太公望)、時の権力者を唆し、悪政を起こし、国を滅ぼした大妖怪・白面金毛九尾の狐。狐は遣唐使の船に若藻と言う美しい娘に姿を変え、紛れ込み、日本に上陸。そして数百年に亘り、人に災いを与えた後、女の赤子に化け、坂部行綱にわざと拾われる。行綱は赤子に藻(みずく)と言う名を与え、育てる。やがて成長した藻は、その歌詠みの才能を買われ、宮中に上がる。そして名を玉藻の前と変え、鳥羽帝の寵愛を受けるようになる。その後、鳥羽帝が病に侵されることから、陰陽師・安倍泰親が占い、その原因が藻だと分かる。安倍泰親の力により、その正体を現した妖孤は空を飛び、那須野原へと逃げる。朝廷の命令により、安倍泰親、安房国の三浦介義純、上総国の上総介広常、那須の那須八郎宗重が討伐に向かい、これを仕留める。だが、その屍は大きな石に変わり、今度は毒気を出し始める。「殺生石」と名付けられたその石は、その毒気によって、近づく者を拒み続ける。それから二百数十年後、近くを通った玄翁和尚に、一喝を入れられ、妖孤はようやく成仏する。

今日のアニメ
裏切りは僕の名前を知っている #8「ブランド・ゼス」…やはり、夕月が男に転生したのには訳があるみたいだ。それにしても、ルカの力は半端じゃない。ほとんど一撃で敵を倒しているよ。

今日の映画
サマータイム・キラー(フランス/イタリア/スペイン/1973年)
懐かしい!。ホント、ん十年ぶりに再見したよ。しかも完全版で。個人的な事だが、実は本作はある意味、私の今の映画生活の基になった作品だ。確かにそれまでも、映画は観ていたのだが、これを観てから明らかに映画の見方が変わった。そんな作品なので、実に想い入れ深い。

さて、そんな本作をん十年ぶりに観ての感想だが、確かに欠点は多い。無駄話は多く、間延び気味だし、全体的に盛り上がりに欠ける。だが反面、それらの欠点を帳消しにするほどの魅力もある。基本的には復讐の物語であるが、恋愛要素をプラスしたため、大甘な部分が多い。だが言い換えれば、ロマンチック作品と言う事が出来るし、70年代特有の切なく、心苦しいタッチも実に心地よい。つまり本作は、復讐の物語を借りた青春映画と言って良いのではないかな。

あと何と言っても、本作の魅力は数回に亘るバイクチェイス。狭い路地や、急勾配の坂でのチェイスは凄まじい。その迫力は今観てはかなりのものだ。いや寧ろ、優れたカーチェイス(本作ではバイクチェイス)は、ほとんどが70年代の映画にあると思うよ。もうひとつは、映画の要所要所で流れる音楽、「愛のテーマ」。その甘く切ないメロディは、実に良い。まぁ全体的に見て、必ずしも傑作とは言えないかもしれないが、心に残る作品と言って良いと思う。

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