真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「千の脚を持つ男(編者:中村融/創元推理文庫)」、読了。
怪物ホラーを集めたアンソロジー。
「沼の怪(ジョゼフ・ペイン・ブレナン/1953年)」
そいつは深海で生息していた。そして津波にのって、沼に辿り着いた。そいつは周囲の家畜や人間を襲い始める。…不定形生物、スライムもの。しかも直球勝負で、変に小細工してないため、読んでいて実に楽しい。サスペンスも十分だし、ラストの攻防戦もなかなかのもの。まさにお決まり…っと言った結末も良い。★★★★☆
「妖虫(デイヴィッド・H・ケラー/1929年)」
ジョンの製粉所の地下室から、奇妙な音と振動が聞こえてきた。ジョンが地下室に降りると、大きな穴が開いており。…些細な出来事で、日常的な空間が異常な世界に変貌していく描写がなかなかのもの。まさにこの手の王道を行くストーリー展開も、アンハッピーなラストも良い。★★★★☆
「アウター砂州(ショール)に打ちあげられたもの(P・スカイラー・ミラー/1947年)」
地震が起こり、町に霧と、腐った魚と海草のような悪臭が発生したとき、そいつが打ち揚げられた。男は一獲千金を狙って、船を出すが。…陰気な風景と、不気味な雰囲気が良く、前半かなり面白い。だが後半、唐突にB級怪獣ものになってしまい興醒め。確かに打ち揚げられものの正体は相当に意外。実際、あんなものに遭遇したら、むちゃくちゃ怖いだろう。でもねぇ、さすがにあの展開はどうかと。前半が良いだけに残念。★★★☆☆
「それ(シオドア・スタージョン/1940年)」
森を徘徊する「それ」。「それ」に犬を殺された男が追跡するが。…悪くはないが、直球過ぎて、食い足りない。但し、異形の怪物の描写や、迫りくる「それ」の描写には迫力あり。★★★☆☆
「千の脚を持つ男(フランク・ベルナップ・ロング/1927年)」
タイトル通りのモンスターが登場する作品で、それ以上でもそれ以下でもない。但し、複数の証言で構成され、事件の真相が少しづつ判明し、やがて全体が分かると言う構成は面白い。ただ、少々荒削りすぎるかな。あと、内容がストーレート過ぎて、食い足りない。★★★☆☆
「アパートの住人(アヴラム・デイヴィッドスン/1960年)」
スラム街のアパートが取り壊されることになるが、一人の住人が出ていかない。…奇形もの。内容と言い、舞台設定と言い、まったく好みでない。★★☆☆☆
「船から落ちた男(ジョン・コリア/1960年)」
シーサーペントを探す調査船。ある港で一人の男を乗せるが。…読んでいて、ちっとも楽しくない。一応、モンスターもの?。★★☆☆☆
「獲物を求めて(R・チェットウィンド=ヘイズ/1969年)」
その「影」は血を吸うため、一軒の家に近づいた。そして、「影」が襲おうとした者は、霊感がある女性だった。…吸血生物もの。何カ所か怪物側からの描写があるのに、これが実に恐い(ふつうは相手の手の内が分かるので、怖くなくなるものだが)。特にオチがある訳でもなく、恐怖描写が淡々と続くだけだが、非常に怖い作品に仕上がっている。★★★★☆
「お人好し(ジョン・ウィンダム/1953年)」
リディアの夫は蜘蛛の収集家。ある日、その収集物を覗くと、一匹の蜘蛛が話しかけてきた。…ジョン・ウィンダムにしては珍しく、ブラックユーモアもの。トンデモな展開が続くが、ラストの一行でゾ~~ッとさせる。お見事。★★★☆☆
「スカーレット・レイディ(キース・ロバーツ/1966年)」
弟が見つけてきた車は、廃車寸前の代物だった。だが弟はこの車に異様な執着を持ち。…殺人カーもの。ただ、殺人カーよりそれにとりつかれていく人間を中心に描いているのが面白い。もっとも、この手の作品は大して変わり映えしないのが難か。ほとんど「クリスティーン」を読んでる気分。★★★☆☆
今日のアニメ
・偽物語 #6「かれんビー 其ノ陸」
・Another #6「Face to face -二人-」
今日の映画
・処刑遊戯(東映/1979年)
「殺人遊戯」の方を先に観たかったのだが、録画したDVDが見つからなかったので。本作は「遊戯」シリーズ3作目。前2作にあったコミカルな部分を一切排除し、スタイリッシュでハードな作品に仕上がっている。そのハードな展開と内容は日本映画には珍しい内容で、かなり見応えのある作品だ。当然、松田優作の切れの良いアクションも健在(ラストの銃撃戦も前作同様にワンカット)。また、森下愛子が演ずる時計屋との心の触れあいが実に良く、まさに大人の為の映画と言って良い。大野雄二の音楽も素晴らしいし、余計な台詞を一切言わない脚本も見事。日本のハードボイルド映画の頂点と言って良いだろう(もっとも一番好きなのは、2作目の「殺人遊戯」だけど(笑))。