真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「ブラックウッド怪談集(アルジャーノン・ブラックウッド/講談社文庫)」、読了。
「アーサー・ヴェジンの奇怪な経験」→満員の列車にウンザリしたヴェジンは、見知らぬ駅で降りた。その見知らぬ駅のある町は静かな町だったが、ヴェジンはその町が、そしてそこの住人がどこか奇妙で普通でないことに気がついた。やがて、ヴェジンはイルゼと言う美しい少女と出会うが。…最後に説明される真相が、私が考えていたものとは違っていたので、楽しむことが出来た(まぁ、それほど意外な事実ではないけど(笑))。恐怖描写はないが、仕草や雰囲気でちょっと怖がらせる作品になっている。真相も含めて、結構私好み。★★★★☆
「打ち明け話」→オーレリは、病後の保養に向かった。だが生憎の濃霧で、彼は見知らぬ地で迷ってしまった。視界がほとんどきかない霧の中で、美しい女性と出会うが。…最後に真相の説明はあるものの、物語の大半が描写だけで説明が一切ないので、実に怖い。濃霧、そして夜の闇のよる閉鎖感が凄く、一級の怪談話になっている。★★★★☆
「客室の先客」→ミンタンは旅先で宿を見つけるが、宿は満員だった。困り果てたミンタンに、宿の者が「一部屋空いているのですが」と話を持ちかける。…現代でもあるホテル怪談…っと言った感じで始めるが、結構意外なほうに話が進んでいく。全編怖いが、特にラストが凄まじく怖い。★★★★☆
「約束した再会」→彼は小さな駅で降りた。15年前に分かれた彼女に会うため。だが…。…冒頭のまるでロバート・F・ヤング辺りが描きそうな青春小説のノリ(風にあふられた大きな帽子を手で押さえる、風で捲れたコートから花柄のドレスが見えるなどの描写が最高)。それが後半、一転して恐怖のドラマに変わる辺りはさすが。最後はサイコスリラーに変貌するのかと思っていたが、普通の幽霊話だった。まぁ書かれた時代と、作者を考えれば当たり前か(笑)。★★★☆☆
「もとミリガンといった男」→ミリガンが借りた部屋で、中国の小船の絵を見つける。…怪談と言うよりは、幻想もの。よくある話で、特に珍しい話でない。出来もあまり良いとは思えない。★★☆☆☆
「ドナウ河のヤナギ原」→ドナウ川をカヌーで下ったとき、折からの雨と風に、ぼくは柳の原に避難した。だが、そこで奇妙な出来事は次々と起こり。…一種のサバイバルホラー。出口のない恐怖と、正体不明の化け物の恐怖が凄い。そして恐怖のヒートアップが素晴らしい。クトゥルーものか、ホジスンの作品のようなノリ(たぶん、この作品のほうが早いと思うが)。★★★★☆
「まぼろしの我が子」→男がクラブへ行く途中、幼い男の子を見かけた。…まぁ一種の幽霊話だろう。だがどちらかと言うと不思議系の話で、怖い話ではない。本短編集の中では異色作だ。あと、幼い子の正体が良い(今となってはさほど珍しくもないが)。★★★☆☆
「死人の森」→旅先の宿屋で昼飯を取っているとき、奇妙な老人を見た。老人は「真夜中に、死人の森に来なさい」っと言うが。…怪談と言うよりは、一種の幻想談だろう。ただ話にまったく捻りがないので、イマイチの印象。幻想的な描写や、ラストのオチ辺りは悪くないのだが。★★★☆☆
「水で死んだ男」→ラースンは占い師に言われた。「水に溺れて死ぬ」と。…う~ん、何だろう。一種の奇妙な味ものか?。少なくとも怪談ではない。まったく怖くないし。★★★☆☆
ハズレがなく、ほとんどの作品が面白い。さすがはブラックウッド…と言うべきか。中でも最高に面白いのは「打ち明け話」だろう。後は「アーサー・ヴェジンの奇怪な経験」、「客室の先客」、「ドナウ河のヤナギ原」辺りがお奨め。
・「涼宮ハルヒの消失」、2010年春に劇場公開予定。
「消失」は結局、劇場版になるのか。
今日のアニメ
・イリヤの空、UFOの夏 #1「第三種接近遭遇」&#2「ラブレター」(東映アニメーション/2005年/OVA)