真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「不死の怪物(ジェシー・ダグラス・ケルーシュ/文春文庫)」、読了。
ハモンド家を何世代にも渡って付け狙う正体不明の怪物。その怪物を見たものは怪物に殺されるか、正気をなくしてしまう。そのため、怪物の正体は未だに不明だ。さて第1次世界大戦が終了した年。その怪物が再び現れ、犠牲者が出た。ハモンド家の現当主であるオリヴァーと、その妹のスワンヒルドは、美貌の霊能者ルナに事件の解決を依頼するが。
一般的にはホラー小説と言うことになっているが、読んでみると少し違うことに気がつく。。確かに冒頭、そのようなシーンもあるが、基本は探偵役であるルナが事実を探り出し、推理し、理論的に真相を導き出すものだ。そこにあるのは、ホラーの最大の魅力である理解できないものの恐怖…ではなく、理路整然された事実だけ。つまりホラーではなく、ミステリーとしての面白さが作品の中心なのだ。…とは言っても、この小説はミステリーではない、扱っているものは超常現象であり怪奇である。そんな訳でよくよく考えてみると、そう、これは伝奇小説の面白さだ…と言うことに気がつく。つまり、半村良の、そして高橋克彦のそれだ。ホラー小説の恐怖と、伝奇小説の知的推理、これが合体した他に例を見ない実にユニークな小説だった。
そして、この小説のもうひとつの魅力は霊能者であり探偵であるルナのキャラ。外見は細く淡い金髪の髪、繊細な顔立ち、なめらかで柔らかい肌、赤い唇、小柄でほっそりとした体格…と魅力的だが、その洞察力や頭の回転の良さもそれに増して魅力的。つまり外見の可愛らしさと、頭の良さを持った、天下無敵と言っても良いくらいのヒロインなのだ。もうひとり、ルナの影に隠れて印象が薄いが、事件の依頼人でもあり、ワトソン役でもあるスワンヒルドも魅力的。灰色の大きな瞳と金髪の巻き毛と持つ背の高い20歳の女性。この美しく魅力的なふたりの女性が組んで、ホームズ役とワトソン役をこなすんだから、面白くないわけがない。全体的に恐怖度は薄いが、内容の面白さは折り紙付きの小説だ。
今日のアニメ
・鉄のラインバレル #22「鬼を喰らうモノ」…超意外な展開。…って言うか、無理がありすぎるだろう。
・咲-Saki- #22「約束」
今日の映画
・セカンド・コーラス(アメリカ/1940年)
二人のトランペッターの男が、一人の女性をめぐって争奪戦を繰り広げる…って言ったラブコメ、&サクセスストーリーと言ったところか。はっきり言ってそれほど面白い内容ではない。だがミュージカルシーンがそれなりに多いので、先日観た「青空に踊る」よりは遥かに楽しめる。ただ歌のシーンは多いが、ダンスシーンが少なめなのが難か。全体的にミュージカルの出来としては、並程度だろう。ところで一般的にはラストの「ホーダウン・バイユー」が評判が良いようだが、私個人としてはイマイチだった。むしろ、前半のポーレット・ゴダードとのダンスの方が楽しかった。