真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「黄色い部屋の謎(ガストン・ルルー/創元推理文庫)」、再読完了。
グランディエ城の離れの黄色い部屋で事件は起こった。突然の悲鳴、そして銃声。城にいた人たちがすぐに駆けつけるが、部屋には鍵が掛かっていた。彼らがドアと壊して中に入ると、そこにいたのは血の海の中に倒れたスタンガースン博士の娘のマチルドだけ。完全な密室の中、犯人はどこへ消えたのか。青年記者ルールタビーユとパリ警視庁の名探偵フレデリック・ラルサンが、この難事件に挑むことになる。
本作はオールタイムベスト10には、まず間違いなくランクインされる作品。つまり、世間がそれだけ名作だと認めた作品だ。だが残念ながら、私はそれほど評価していない。確かに真相やトリックを含めて、話はよく出来ている。でも読んでいて、あまり面白くないのだ。冒頭、不可能犯罪が起こる(本作では密室犯罪、および中盤で人間消滅)が、私はこう言う謎が提示されても、「何とかなるんじゃない」って感じで興味が湧かないのだ。まぁ、私個人の問題と言えばそうなんだが、一方で作品自体にも責任はあると思う。…っと言うのは、大半のこの手の作品のその解答が無理矢理だったり、言い訳じみていたり、考えるのも億劫なほどの小難しい説明だったりで、読んでいてちっとも楽しくないのだ。例えば、アリバイ崩し(列車の時刻を使う奴)なんて、その良い例だ。本作は機械トリックと使わずに、心理的な錯覚を利用しているのでまだマシだが、それでもさほど面白いとは思えない。寧ろ、ミステリーの本当の面白さは、無数に張り巡らされた伏線がラストで一つに繋がっていく快感なのではないかと個人的には思う。まぁ、これは一般論でなく、あくまでも私個人の考え方なんだけどね。あと、真犯人が特に意外でなかったのも、マイナス要因かな。
ところで今頃になって、何故こんな手垢のついた作品を読んでいてるかと言うと……。その理由は後日にでも。
今日のアニメ
・モーレツ宇宙海賊 #21「決戦!ネビュラカップ」…今週はいつも以上に面白かった。茉莉香がカッコ良かったし、レースシーンもスピーディで大迫力だった。
・坂道のアポロン #8「ジーズ・フーリッシュ・シングス」
今日の映画
・グレイヴ・エンカウンターズ(アメリカ/2011年)
最近、やたらと多いフェイクドキュメンタリー。これだけ多くなると、その映画ならではの売りが必要だが、本作の売りは徹底的にエンターティメントに走っていることだ。前半はごく普通のドキュメンタリータッチで進むため、さほど面白くないが、後半は一転して映画的になるため、非常に楽しい。消失した出口、いつまで経っても明けない夜、作りが次々と変わっていく館内などなど、ある意味、居直った展開が実に良い。ただ、その分、段々と怖さがなくなって、普通のホラーになってしまうのが残念かな。特に幽霊の顔が変わる、あの有名なシーンはまったく怖くなく、逆に笑ってしまった。また、モンスター映画と化していしまうラスト近くの展開は、さすがにどうかと思うし(ほとんどゾンビ映画(笑))。…とは言うものの、狂っていく登場人物や、暗くて救いのない結末辺りは結構好きだな。…って言うより、この結末があったからこそ、点数が一気に上がった感じだ。
・ゾンビ大陸 アフリカン(イギリス/2010年)
久しぶりに現れたゾンビ映画の傑作。最近ゾンビ映画がやたらと多いが、その大半は駄作。演出もロクに出来ない連中が、単にゾンビが登場する(しかも奇をてらったような)映画を作っているだけ。だが本作は違う。ちゃんと演出が出来る人間が、しっかりとした脚本で作っている。何よりも、ゾンビ映画の面白さを理解しているのが嬉しい。本作に登場するゾンビは、ロメロの正統な後継者と言って良い、のろのろゾンビ。この為、最近流行の走るゾンビを違い、迫りくる恐怖が存分に堪能できる。しかも、全編シリアス、救いのないアンハッピーなラスト(ホンの少し希望があるものの)、そして一級のサスペンスと緊張感…とかなり出来が良い。また、本作はアフリカの過酷な自然を描くことによって、何とも言えない絶望感を醸し出している。まさにお勧めのゾンビ映画だ。