真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「パラディスの秘録 死せる者の書(タニス・リー/創元推理文庫)」、読了。
生者の、半生者の、蘇生者の、死なざる者の、そして死者の都である魔都パラディス。現実のパリと似てはいるが、まったく違う世界。この都で起こる怪奇な事件の数々を収録した短編集。
「鼬の花嫁」→幼馴染と結婚した男が、初夜に花嫁を殺してしまう。何故か?。…その理由と言うのが凄い。ネタバレになるので詳しく書けないが、よくこんな設定を思いつくものだ。しかも普通の作家が描くと単にグロテスクな話になるのだが、タニス・リーが書くと耽美な作品になるから不思議だ。★★★★☆
「悪夢の物語」→伯母の手で育てられたジャンは、幼い頃に両親を死に追い込んだ男に復讐する為、彼が住む島へ渡る。…復讐の物語と言うよりは、数奇な運命をたどる男の話。内容が内容だけにオチはないだろうと思っていたら、最後の最後でありました。さすがはタニス・リー。あと、復讐シーンの耽美さも良い。★★★★☆
「美しき淑女」→近づいた人間が数日で死ぬため、女は「ベラドンナ」と言われていた。彼女の正体は?。…その女が持っている秘密が凄過ぎ。こんなアイデアをよく思いつくものだと感心する。★★★★☆
「モルカラの部屋」→ランダルが偶然に雨宿りした古びた屋敷。そこで聞いた屋敷の塔の話。昔、その塔で自分に呪いをかけて死んだ女性がいたらしいのだが。…完全にゴシックホラーで、なかなか読ませる。ただ最終的に合理的に解決し、教訓臭さを残すラストは、あまり面白味がない。★★★☆☆
「大理石の網目」→川から発見された女性の水死体。事の起こりは、その女性が「奇術師」と言われる男とパーティーの席で出会ったことから始まる。…如何にも、タニス・リーらしい耽美で妖しくて残酷な話。最後まであえてはっきりした事を書いてない為、それらの要素がより濃くなる。★★★★☆
「世界の内にて失われ」→古い地図から、「神の谷」と呼ばれる場所がある事を知った男。彼はすべてを投げ出し、その場所を探そうとするが。…タニス・リーにしては珍しい異世界冒険談。コナン・ドイルの「失われた世界」のオマージュらしく、タニス・リーにしては異色。ただ、冒険ものと言いながら、狂気や絶望のドラマは如何にも彼女らしい。あるものを目撃するラストは圧巻。★★★☆☆
「硝子の短剣」→ミヒャエルと言う男と、歌姫にして彼の愛人であるイシュタルと、画家にして彼の元愛人であるヴァルメの愛憎劇。結構ドロドロとした話なのに、タニス・リーの手にかかると、どうしてこうも耽美で妖しい話になるのか。ラストのファンタジーとしてのオチも素晴らしい。★★★★☆
「月は仮面」→仮面をかぶり、梟になって、空を飛ぶ少女の話。悲しい悲しい話。特にオチがある訳ではないが、女の哀れさがよく描かれている。★★★☆☆
今日のアニメ
・グリザイアの果実 #1「普通の学園生活」…ハーレムエロアニメかと思ったら、どうも違うっぽい。もしかしたら、サイコサスペンスかも。それとは違うにしても、かなり欝な展開が待っているようだ。面白いかもしれないが、視聴中止でイイや。
今日の映画
・バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所(イギリス/2012年)
ホラー映画のSEを作るうちに、狂気に陥るサウンドエンジニアの話。…で、最後には殺人を犯すかと言えば、結局何事もなく映画は終わるの。だが、全編を覆う不安感と緊張感は半端ない。かなりの異色作だ。 ★★★☆☆