真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「北極星号の船長(アーサー・コナン・ドイル/創元推理文庫)」、読了。
怪奇ものの短編集。
「大空の恐怖」
ジェイス・アームストロングの血塗れのノートが発見された。それによると、彼は首を切断されて死亡した飛行士の死因を探るため、4万フィート上空を目指したらしい。…4万フィート上空に生息する生物を目撃する話。ほとんど怪獣もののノリで、その手が好きな人にとっては堪らない。怪物の存在感と、それを目撃するシーンのリアルさは最高。★★★★☆
「北極星号の船長」
先日読んだ「ドイル傑作集(Ⅱ)」の「ポールスター号船長」と同じもの。しかし訳が変われば、ここまで面白くなるものかと、驚いたよ。あのダラダラとしたつまらない話が、この訳では緊張感溢れる一級の海洋怪談になっている。はっきり言って、こちらを読む事をお勧めする。★★★★☆
「樽工場の怪」
闘鶏号が辿り着いた島では、奇妙な噂が流れていた。3日に一度、化け物が人間をさらうと言うのだ。船長である私と島の医者の二人で、化け物が出ると言う樽工場で不眠の張り込みをするが。…これも先日読んだ「ドイル傑作集(Ⅱ)」の「たる工場の怪」と同じもの。あのクソつまんねー話が、訳が変わるだけでこれほど面白くなるとは。一夜の緊張感、恐怖、そのすべてが素晴らしい。かなり楽しい作品だ。★★★★☆
「青の洞窟の恐怖」
アラートン農場を訪れた私は、そこで青の洞窟に住む化け物の話を聞いた。一笑に付した私だが、その洞窟から奇妙な声が聞こえてきた。…「樽工場の怪」と似たような内容。工場が洞窟に変わっただけ…って感じ。ただ、こちらは異形の怪物なので、個人的には「樽工場の怪」より好きだし、楽しい。ラストの対決はほとんど怪談もの。★★★★☆
「革の漏斗」
今は亡き友人から、生前に革製の漏斗のようなものを見せられた。一説のよると、物を枕元に置いて寝ると、その物の記憶が見れるらしい。私がそれを枕元に置いて寝ると。…心霊現象とミステリーを融合させたような内容。真相自体はそれほど面白いものでなく、まぁまぁの出来。★★★☆☆
「銀の斧」
ブタペスト大学の教授が殺された。金目の物が取られてないため、物取りの犯行とは考えづらい。しかも、彼は人に恨まれるような人間でなかった。更に似たような犯行が続き、現場で斧が発見される。…っと言うストーリーを書けば、察しがつくと思うが、まさにその通り。よくある話ではあるが、それなりに纏まっているし、楽しめる。★★★☆☆
「ヴェールの向こう」
ブラウン夫婦がローマ人砦跡を見に行く。そこで妻が奇妙な事を言い出し。…前世の記憶を題材にした作品。まぁまぁの出来。★★★☆☆
「深き淵より(デ・プロフンディス)」
幽霊ものだが、話に要領を得ないため、実に分かりづらくて退屈。最後の数行で、「ああっ、そう言う話か」っと納得。★★☆☆☆
「いかにしてそれは起こったか」
ある自動車事故の顛末。不思議と言うより、落語のような話。まぁまぁ。★★☆☆☆
「火あそび」
ある交霊会で起こった出来事の顛末。う~ん、面白くないなぁ。★★☆☆☆
「ジョン・バリントン・カウルズ」
私と友人が展覧会で美しい女性と出会う。友人はその女性に一目惚れするが、私は不吉なものを感じる。悪女もの。しかも、本物の化け物。女の正体は別に意外ではないが、悪くはない。ただ、その正体の性質を生かした展開になってないのが残念だ。それでも、そこそこ楽しい作品ではある。★★★☆☆
「寄生体」
懐疑論者の大学教授にペネロサは催眠術実験をして、彼の考えを変えさせようとするが。…催眠術を使う女との戦いの話。一種のサイコサスペンスか。まぁまぁの出来。★★★☆☆
今日の映画
・奇蹟人間(イギリス/1936年)
噂ばかりで今まで観る機会がなかった幻の作品だったが、今回ようやく観る機会に恵まれた。内容は教訓を盛り込んだ、一種のファンタジー。時代が時代だけに、前半はコミカル。だが話が進むにつれ、奇跡の力を利用しようとする者が現れたり、主人公を危険視して殺そうと企む者がいたりと、笑うに笑えない展開になって行く。しかも、奇跡の力を手に入れた男のオロオロとした姿を描くだけでなく、金や欲望と言ったこの世の仕組みまで盛り込んだ内容になっており、意外と奥が深い。そんな訳で、今観ても古臭くなく、結構楽しめる作品に仕上がっている。さて、この映画のラスト。その奇跡の力により、地球の自転を止めることになる。この為、慣性により地上のあらゆるものが崩壊するのだが、このシーンが今も語り草になっている伝説のシーン。だが今観ると、さすがにショボイ。個人的には、このシーンを今のVFXで描いたらどうなるんだろう…っと別の興味が湧いたが(笑)。