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真夜中のティータイム

気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。

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「さわやかな9月の風のなかを空飛ぶフライパンに乗って、宇宙クジラが棲む遙かな銀河へ、巨人族が暮らす深い海の洞へと、冒険の旅に出かけてみませんか?」
…っと言うわけで、「ジョナサンと宇宙クジラ(ロバート・F・ヤング/ハヤカワ文庫)」、再読完了。

本作はヤングのハートフルな短編集。確かに名作「たんぽぽ娘」ほどの作品はないが、どれも心温まる話ばかりだ。訳者である伊藤典夫の言葉を借りれば、「彼が偏執的ともいえるほどに追い求めるテーマは。現代社会では時代おくれと思われがちなロマンチックな愛のかたちなのである。」っと言うことになる。ただ訳者も言っているが、こうした作品を生理的に受け付けない人々も一方でたくさんいるのも事実だ。だからすべての人にお勧めはしないが、好きな人は好きじゃないかな。少なくとも、私は大好きだ。

「九月は三十日あった」→ダンビーはショーケースに飾られているアンドロイドの教師を買った。彼女は髪は九月の日差しを思い出した、彼女の顔立ちは九月の日々を思い出した、彼女の声は九月の風を思い出した。だが家族はそのアンドロイドに対して反発的だった。…現代社会の軽薄さ、安っぽさ、暴力さに対する批判。今の時代にこそ読んでい欲しい好編。ラストの清々しさも良い。「魔法の窓」→不思議な青い瞳と、眩い金色の髪をした少女が、道端に絵を展示していた。絵には、草原と湖と雪を頂いた山脈、そしてびっしりと星が描かれていた。彼女は言った。「見えるんですか?、見えるのね、星が」。…ファンタジックな話ではあるが、実にもの悲しく、孤独な作品だ。ラストの一文、「そこには、・・・があるだけだった」が悲しすぎる。「ジョナサンと宇宙クジラ」→宇宙軍に入隊したジョナサンが、宇宙クジラと遭遇した。宇宙クジラは全長が1000マイル、流星群や宇宙塵を常食とし、光速を超えるスピードで移動するクジラ型の生物だ。事故が起き、ジョナサンはこの宇宙クジラに吸収されるが。…巨大生物の中にある文明世界と言うシュールな内容であるが、そう言うセンス・オブ・ワンダーより、死に行く者の悲しみやそれを救おうとする男の優しさの方が印象的なのは、如何にも彼らしい。同時に、地球を殺していく害虫のような人類への批判でもある。「サンタ条項」→ロスは悪魔に願った。「サンタクロースのいる世界にしてください」と。…らしくない毒と皮肉満載の作品。全編がスラップスティック調でコミカル。ただ現実に嫌悪感を示すラストは如何にも彼らしい。「ピネロピへの贈り物」→肌寒い風の吹く2月に、ピネロピは不思議な少年に出会った。…如何にも彼らしい作品。少年の正体は初めのほうである程度分かるが、話自体は悪くない。「雪つぶて」…小さな村に小さな空飛ぶ円盤が降りてきた。…ん~~、何と言った良いのか。評価不可能。「リトル・ドッグ・ゴーン」…酒浸りで落ちぶれた役者のヘイズは、辺境の惑星の畑で目を覚ました。彼はそこでテレポート能力を持つ子犬のような生き物、そして酒場女のモイラと出会った。…落ちぶれた役者の再出発の物語。まったくSFである必要がない話だが、ハッピーエンドになだれ込むラスト近くの展開はやはりSFでないと困る。ラストの清々しさも良い。「空飛ぶフライパン」→毎日フライパン工場で働き、人生に疲れたマリアン。彼女の前に、まるでフライパンのような小さなUFOが現れた。…人生に疲れたあなたへ…って感じの話だ。ラストのオチは結構好きだな。「ジャングル・ドクター」→医者のサリスは転移装置の操作を間違えて、辺境の惑星に来てしまった。その惑星は現在冬、大雪の中でサリスは倒れてしまう。ちょうど通りかかった酔っ払いのリンゼイが彼女を助けるが。…珍しくミステリー調の物語。まぁ結局はいつも通りの愛の物語になるのだが。ところでヒロインのサリスが魅力的。夏の砂糖きびのような黄色の髪、外見はどう見ても少女にしか見えない異星の女性。いや、堪りません(笑)。「いかなる海の祠に」→デイヴィッドは、ビーチハウスで見かけたヘレンと言う娘に一目惚れした。二人はすぐに結婚するが、やがてヘレンにある変化が起こり始めた。…「雪は断崖の頂き一面につもり、いっこうに降りやむ気配もなく、大西洋の空から舞いおりてきては、断崖のすその狭い砂浜に打ち寄せる鉛色の波に溶けこんでいた」、っと言う冒頭の描写から一気に物語に引き込まれる。また内容もそれまでの愛の物語とは少し違い、三角関係とも言うべき内容を扱っているのが彼にしては異質だ。かなり読ませる話で、お奨め。[総評]…「雪つぶて」以外は、すべて水準以上。中でもお奨めは「九月は三十日あった」、「魔法の窓」、「いかなる海の祠に」の三篇。

べ、べつに予約しなくてもいいんだからね!
好きだなぁ、こう言うの(笑)。

今日の映画
エディット・ピアフ~愛の讃歌~(フランス/イギリス/チェコ/2007年)
フランスの伝説的シャンソン歌手、エディット・ピアフの半生を描いた映画であるが、私は別にエディット・ピアフに思い入れがある訳でもないし、彼女の生き様に共感も出来なかった。そのため残念ながら、どうしても映画に面白さを見出すことが出来なった。ただ、あまりシャンソンに詳しくない私でさえ知っている「愛の讃歌」や「ばら色の人生」などの名曲が流れるのは良かった。あと、劇中ではあまりはっきり歌わないが、「パダム・パダム」の曲も良い感じだ。CD、買おうかな(笑)。

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