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真夜中のティータイム

気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。

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「異形コレクション キネマ・キネマ(光文社)」、読了。
映画をテーマにしたアンソロジー。以下、作品ごとにコメント。
「未知との遭遇(石田一)」→私は彼と些細なことでケンカして、別荘を飛び出した。やがて周りは濃い霧に包まれ。…タイトルから宇宙人ネタか思ったら(確かにそう言う部分はあるものの)、メインは「フランケンシュタイン」ネタだった。ただある程度、同作品のことを知らないと、オチや内容が意味不明になるだろう。★★★☆☆
「ストップ・モーション・マン(小中千昭)」→ある映画監督の許に、ひとつのフィルムが送られてくる。それには現在彼が撮影中の映画のモンスターがストップ・モーションと言う古い手法で描かれていた。誰が、こんなことを。…ホラーと言うよりはミステリー。っと同時に、失われゆくものへの哀愁でもある。悪くはないけど、あまり印象的な作品ではない。★★☆☆☆
「ZOO(乙一)」→俺の元に毎日、恋人が日に日に腐敗していく写真が送られてくる。一体誰が。…タイトルから「もしや」と思ったら、その通りだった。実はこの作品、映画「ZOO」の一編になっている作品だ([本館]の感想参(本館→映画日記→2005年→ZOO))。一種のサイコサスペンス。映画の方もそうだったが、こちらもあまり面白くなかった。★★☆☆☆
「左利きの大石内蔵助(田中文雄)」→深夜、映写技師が映画のフィルムのチェックをしていると現れる客席の影。このことを知った映画館のオーナーが、技師に話した子供の頃の話。…映画館での幽霊話と、オーナーが子供の頃に遭遇した不思議な話。その二部構成による一種の幽霊談。だが決して怖い話ではない。ノスタルジー溢れる話で、読み終わった後、切なく、そして心が温かくなる良質のファンタジーだ。★★★☆☆
「あたしの家(矢崎存美)」→親友と久しぶりに会った夜、私はジグザグに歩く男を目撃した。それが切欠で、昔観た怖い映画を思い出した。いくつもあるベッドを越えて迫ってくる女性、差し出す手に赤い何か。映画のタイトルが分からないと言うと、友人は調べてくれると言った。だが。…昔見たタイトルの分からない映画。やはり、映画を題材にしたホラーなら、これでなくちゃ…って感じの出だしで良い。まさに映画「女優霊」を思い出す良い出だしだ。だが、後半段々意味不明になる。良く言えば、どこからが現実で、どこからが幻か分からない…って事だろうが。前半の面白さに比べ、後半少々手抜きになるのが残念だ。★★★☆☆
「コルトナの亡霊(中島らも)」→観客が上映開始から1時間を過ぎると退出してしまう映画があった。その名も「コルトナの亡霊」。興味をもった記者が、真相を調べ始めるが、翻訳者や配給会社の人間も含め、最後まで観た人間がいない。これは呪われた映画なのか?。…興味深い謎で始まり、一気に読んでしまうが、肝心のオチがない。なんかはぐらかされた感じだ。前半が良いだけに、非常に残念。★★★☆☆
「映画発明者(北原尚彦)」→僕は霊媒師に父の消息を知る手伝いを依頼した。映画を発明したのはエジソンと言うことになっているが、本当は僕の父親だ。その事を証明したくて、今回の依頼をしたのだ。そして現れたのは、ヴィヴィアン・ハンブリンと言う女性で、まるでビスクドールのような少女だった。真っ白な肌、薄い金髪、大きな碧眼、真っ赤な唇。僕はハンブリン嬢と共に、霊媒を行なうが。…悪くない。だが何かが足りない。怖くないというのも理由のひとつだが、もうひとつ何かがあれば、傑作になりえた筈だ。★★★☆☆
「赤と青(草上仁)」→彼は観たくもない映画を観ている。彼の妻を狂気に追い込んだ映画を。…ダメだ。これは好みじゃない。よく言えば、どこまでが現実でどこまでが映画か分からない。悪く言えば、意味不明、支離滅裂。★☆☆☆☆
「プリン・アラモードの夜(速瀬れい)」→売れない俳優である俺が、深夜ファミレスで食事をしていると、目の前に少女が現れた。少女が語る不思議な話。…ホラーと言うよりは不思議な話。一種の幽霊話とも言えるが、怖さより温かさを感じる内容だ。ただ一箇所だけ、ゾッとするシーンがある。悪くない。★★★☆☆
「眼居(石神茉莉)」→オペラ歌手である女性と彼女の娘が、映画で競演することになった。映画は大成功。だが、その日から娘が視線を怖がるようになる。…ホラーと言うよりはサイコスリラーか。悪くはないけど、あまり面白いとは言えない。★★☆☆☆
「キネマの夜(江坂遊)」→待ち合わせの女が来ず、ひとりで入った映画館。そこで起こった不思議な出来事。…ファンタジーと言うよりは、ドタバタコメディ。あまり好みでない。★★☆☆☆
「第三半球映画館(本間祐)」→僅か1~2行の超ショートショート。しかし、どこが面白いんだ。★☆☆☆☆
「サイレント(井上雅彦)」→私は映画女優の悲鳴が何故か聞こえない。…奇妙な話ではあるが、だから何だよ。★☆☆☆☆
「衣装を着けろ(竹河聖)」→舞台衣装を安く上げるため、ハリウッド倉庫セールに衣装を使った。だが女優のひとりが、この衣装を恐れ。…アイデアは悪くない。でも、それだけ。★★☆☆☆
「恐怖燈(朝松健)」→室町末期から、桃山初期。日本の歴史上に突如現れた稀代の幻術師、その名も果心居士。その男にまつわる奇怪な話。…怖くはないが、なかなか興味深い話だ。特に果心居士が、この世の者と思えない正体を現すシーンは圧巻。★★★★☆
「あなたの下僕(飛鳥部勝則)」→盆行事の際、野外で行なわれる上映会。今年上映されたのは、「愛情」と言う映画。貴夫はその映画に出てくる描写で、自分の忘れたい過去を思い出す。…映画の内容と、現実が同じと言うのはよくあるパターン。しかも単にグロいだけで、あまり面白い物語でない。★★☆☆☆
「〈ファンタスポルト・レポート〉ヴァンパイア・ボール(友成純一)」→ポルトで開催されたファンタ映画祭のレポート。事実もかなりあるので、どこから本当でどこまでが嘘かわからない面白さはある。だが所詮パロディの域を脱していない。★★☆☆☆
「3D(町井登志夫)」→ガンと思われる患者を検査するが、どうもはっきりしない。また患者の子供の話によれば、患者が作る食事が人間の食べる物ではないと言う。…今回のテーマから少々外れているような気がするが、これは傑作。中盤のサスペンスと謎、人間が人間以外のものへと変わっていく恐怖。傑作だ。★★★★★
「ディレクターズ・カット(浦浜圭一郎)」→スプラッター映画監督が、殺人鬼だったと言う話。ダメだ、これは。とにかく気持ち悪いし、生理的に受けつれない作品だ。★☆☆☆☆
「RESTRICTED(久美沙織)」→小学校の頃の担任から、突然手紙が来た。…出来云々以前に、アホで軽薄な若者が書いたような文が良くない。たぶんリアリティを出すためだと思うが、この手の文章は生理的に受け付けない。また内容自体も面白くない。しかも、後半は「アルジャーノンに花束を」のパクリの様になるし。★☆☆☆☆
「アナーキー・イン・ザ・UK(平山夢明)」→俺は雨宿りがてら、女友達と場末の映画館に入ったが。…血と暴力と残虐の作品。かなりエグイ残酷シーンが出てくるが、俗悪なコミックのようで不快感はない。だが悪趣味。はっきり言って、好みでない。★☆☆☆☆
「私のように美しい…(高野史緒)」→ラコールはふいに目覚めた。そこは宇宙船の中だった。ラコールが向っているのは、地球に訪れた宇宙人の故郷だったが。…テーマである「キネマ」とはまったく関係のないように始まりをするが、後半ちょっとしたどんでん返しがあって、「キネマ」と言うテーマが浮かび上がってくる。アイデアはまぁまぁだし、悪くはないが、何か物足りない。★★☆☆☆
「陽の光、月の光(安土萌)」→気絶してたわたしが目を醒ましたのは、映画館の中だった。だがそこは地震により、扉の向こうが瓦礫に埋まり、脱出不可能だった。…出だしは悪くないが、オチがなぁ。★★☆☆☆
「通行人役(菊地秀行)」→50年前に正体不明のものの襲撃で、世界のほとんどは水晶化して滅んだ。トキオもその都市のひとつだったが、一人の老婆の生存が確認された。…だから、何?★★☆☆☆

今回のお奨めは、「3D」。これは文句なく面白かった。あと、「恐怖燈」のなかなかの傑作。お奨めはこの二つくらいかな。ただ気になる作品もいくつかあった。「左利きの大石内蔵助」、「あたしの家」、「コルトナの亡霊」、「映画発明者」、「プリン・アラモードの夜」辺りがそう。いずれも良いものを持っているが、今一歩といった感じだった。今回は全体的に低調だったな。

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