真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
今日の一冊
・アイルランド幻想(ピーター・トレメイン/光文社)
「石柱」、「幻の島ハイ・ブラシル」、「冬迎えの祭り」、「髪白きもの」、「悪戯妖精プーカ」、「メビウスの館」、「大飢饉」、「妖術師」、「深きに棲まうもの」、「恋歌」、「幻影」の11篇のアイルランド怪談からなる短編集。怪談の本場はなんと言ってもイギリスだが、アイルランド怪談もなかなか良いものを持っている。この短編集に収録されている作品はどれも直接的な描写はないが、暗示させることで読み手を怖がらせる怪談の本質をもっている。さすがは霧の海に囲まれた妖精の国だけのことはある。ただイギリス怪談との大きな違いは、単に怖いだけでなく、イギリスの植民地政策による農漁民の怒りと悲しみが底に流れていることだろう。
さて、この11篇の短編だが、さすがにすべてが傑作とは思えない。かなり優劣の差が激しいような気がする。その中で私のお勧めは、「幻の島ハイ・ブラシル」、「メビウスの館」、「深きに棲まうもの」、「恋歌」の四編。「幻の島ハイ・ブラシル」は7年に一度浮かび上がる幻の島ハイ・ブラシルを題材にした作品だが、たぶんこの短編集の中で最も怖い作品ではないだろうか。あることを暗示させるラストシーンはマジでぞっとする。一番のお勧めだ。「メビウスの館」はアイルランドの鉱山の調査に来た男の恐怖を描いている。事の真相が分かるラストはかなり怖い。「深きに棲まうもの」は祖父の手紙を見つけた男の話。どことなくクトゥルー神話を感じさせる作品だ(実際、「深きものども」辺りを基にしているのかもしれない)。あとアイルランドの荒涼とした美しい風景の描写が絶品。「恋歌」は山道に迷った男が、聞こえてきたアイルランドの伝統音楽のするほうに向かうと…っと言った話。なんとなく、日本の怪談話を髣髴させる作品だ。実は夜のシーンよりも、一夜明けた朝のシーンの方が怖いのだ。また恐怖と共に、物悲しさを感じさせるラストシーンが良い。
気になる一冊
・ガラスのなかの少女(ジェフリー・フォード/ハヤカワ)
いんちき降霊会を催して金をまきあげる詐欺師一家。彼らが訪れたある屋敷で、少女の幻影を見る。ところが、すでに少女は殺害されていた。…ホラー?、サスペンス?、ちょっと気になる。(未発売/2月25日発売予定)
今日のアニメ
・攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG #13「顔」&#14「左眼に気をつけろ」&#15「機械たちの午後」&#16「そこにいること」