真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「猫の舌に釘をうて・三重露出(都筑道夫/講談社)」、読了。
都筑道夫の代表作を2本収録したベスト文庫。
・猫の舌に釘をうて(1961年)
「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら被害者にもなりそうだ」。私は恨みに抱く塚本稔を殺そうと考える。だが元来の意気地のなさと、彼の妻である有紀子のことを考えて、彼に似た人間を殺す真似をすることで、気を晴らそうとした。私は目をつけた男のコーヒーに、毒薬に見立てた風邪薬と入れた。すると何故か、死ぬ筈がないのに男が死んだ。
ストーリーはごく普通の殺人事件を扱ったミステリー。だが、あらゆるところに凝りまくっている。それは本の作りであったり、文の構成であったり。そんな訳で一見、イロモノミステリーの感じがする。実はそのイロモノめいた部分が、読者に真相を悟らせないためのミスディレクションなのだ。この辺りのトリックはホント見事。たぶん、ほとんどの読者が騙されるんじゃないかな。斯く言う私もすっかり騙された。イロモノ小説に見せかけた、本格ミステリー…っと言った作品だ。最後のオチも見事。★★★★☆
・三重露出(1964年)
日本にニンジュツのシュギョウにやって来たアメリカ人のサミュエル・ライアン。彼は偶然、男を助けたことから、とある犯罪に巻き込まれていく。…って言う小説の翻訳をやっている滝口正雄は、小説の中にアメリカ人が思いつかない日本名があることに気が付く。その日本名はヨリコ・サワノウチ。これは数年前に殺された沢之内より子のことか。滝口はこの小説の作者が、事件のことを何か知っているのではないかと考えるが。
かなり凝った構成で、アメリカ産の冒険アクション小説と、それを翻訳している男の物語が交互に描かれる。翻訳している男の話は特に問題がないが、問題は冒険アクションの方。アメリカ人が間違った日本観で書いた小説という設定なのだが、この辺りがどうも読んでいてツライ。少しだけなら笑って済ませるけど、延々と続くと、苦痛でしかない。しかもおもちゃ箱をひっくり返したような落ち着きのない内容だし、アクションシーンが山田風太郎の忍法帖もどきだし。どうもこう言う内容(&文章)は苦手だ。一応、最後で二つの物語が交差するが、これもそれほど面白いものでなかった。はっきり言って、好みの作品でない。★★☆☆☆
今日のドラマ
・大魔神カノン #3「寡温」…「大魔神」が「仮面ライダー」になった。何だかなぁ。