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真夜中のティータイム

気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。

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死の姉妹(扶桑社)」、読了。
女吸血鬼もののアンソロジー。以下、作品ごとにコメントをする。
「からっぽ」→行方不明の人間を探すことを生業にしているジェイクが、知り合いの女性から2日ほど失踪した少女に、その間何があったか、調査して欲しいと頼まれる。…失われた2日の謎を追う展開は面白い。だが謎を謎と思ってない作風のため、なんとも拍子抜けの物語になる。はっきり言って面白くない。★★☆☆☆
「吸血獣」→カルヴとフレイディスの夫婦が越してきた北の地の農家で、雌牛のミルクがなくなる事件が起こった。そして徘徊する異形の獣。…正統派吸血鬼もので、スペルとサスペンスと恐怖が素晴らしい。また女吸血鬼はエロチックに描かれることが多いが、この作品では飢えた獣のように描かれているのが異色。★★★★☆
「マードリン」→黒髪のまるでビスクドールのような美貌の女吸血鬼・マードリン。彼女は美しい一人の男の血と生命を奪ったが、彼女の前に男の彼女-厚い丸眼鏡の決して美人と言えないオリヴィアが立ちふさがった。…ビスクドールのような美貌の吸血鬼と言うのは魅力的だが、彼女の視線で話を描いているため、怖さがない。つまりホラーと言うよりは、悪女ものと言った印象で、その辺りに恨みが残る。後半の展開が些か拍子抜けだが、小説の出来は決して悪くない。★★★★☆
「ママ」→エリザベスのママが死んだ。だが、その死んだ筈のママが帰ってきた。…化け物になっていく家族の話。怖くはないが、不気味である。しかし、これは吸血鬼と言うよりゾンビものだろう。★★★☆☆
「夜の仲間たち」→現代に生きる吸血鬼一家の苦悩。…コミカルな作品。う~~ん、こう言う作品はあまり好きでないなぁ。単に題材(ここでは吸血鬼)をおちょくっているだけって感じだし。★☆☆☆☆
「再会の夜」→年老いたエドの前に、昔愛した長い黒髪&黒い瞳のレベッカが現れた。昔と変わらない若さのままで。…ロマンチックな話ではあるが、それだけ。もう少し何かがほしい。★★★☆☆
「貴婦人(ラ・ダーム)」→海を愛する元兵士の男が、村で白い船〈貴婦人(ラ・ダーム)〉を買い、海に出るが。…詩的で耽美な作品だが、それだけ。小説、そして吸血鬼もの面白さが感じられない。★★★☆☆
「真夜中の救済者」→ホームレスの女の打ち明け話。…ぐだぐだした打ち明け話をだらだら綴っただけ。吸血鬼どころか、ホラーとしての面白さも感じられない。最低作。★☆☆☆☆
「受け継いだ血」→私は幼い日から母と二人で暮らしてきた。12歳のとき、母と共に住み慣れたい家を離れた。そのとき、自分の正体を知った。…バンパイヤものと言うよりは、ごく普通の家庭小説のような感じで、それ以上のものでない。当然、恐怖シーンなど皆無。★★☆☆☆
「犠牲者」→ある上院議員を失脚させるため、私は彼のヴァンパイヤレイプ事件を使おうとする。…何だ、これは!。どこが面白いかのまったく理解できない。まさかヴァンパイヤに人権があるとでも言いたいのか!。★☆☆☆☆
「マリードと血の臭跡」→比較的まともな吸血鬼ものの始まりをするが、内容は相当にぶっ飛んでいる。なんと、サイバーパンク吸血鬼!。こうなると、もうなんて言ったら良いのか。個人的にパロディか、おふざけにしか見えないのだが。★☆☆☆☆
「ダークハウス」→少女シシーに愛情を注ぐ複数の母親たち。…アイデアは面白いし、内容も悪くはない。ただ何か物足りないので、まぁまぁの出来と言った感じだ。★★★☆☆
「〈夜行人種(ナイト・ピープル)の歌〉」→「リングワールド」で繰り広げられる吸血鬼との戦い。…単なるファンタジーアクション。★★☆☆☆
「死の姉妹」→殺人の罪を着せられ、犯人に犯された女性。死刑執行の前日、彼女の前に悪鬼が現れるが。…悲しみが中心の幻想もの。あまり好みではない。★★☆☆☆

総評:「吸血獣」と「マードリン」は面白いが、それ以外はぱっとしない。まぁ、無理して読む必要もないアンソロジーだ。ところで「あとがき」に反論がある。「60~70年の吸血鬼小説はつまらなかったが、「ヴァンパイア・レスタト」以降、吸血鬼を人類とは別の進化をした種族と見ることで面白くなった」っと書かれている。だが私は言いたい、「だから、よりつまらなくなったのだよ」。吸血鬼を別の種族としてとらえるのは、SF的発想のひとつにしか過ぎず、それはもう吸血鬼でもなんでもない。そこには吸血鬼の怖さも何もない。それは本アンソロジーのつまらなさが、如実に表しているのではないか。確かに60~70年代の吸血鬼ものは不作だった。だけど、現在の吸血鬼ものはそれ以上に不作だと思うよ。

今日のアニメ
みなみけ おかえり #2「オレも」

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