真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
仕事始め。
一週間ぶりの仕事で疲れた。
「少女達がいた街(柴田よしき/角川書店)」、読了。
1975年の渋谷。16歳のノンノは、ロックが大好きな女の子。ロック喫茶で知り合ったチアキと、毎日ロックの話をしている。そんなある日、ナッキーと言う知り合った。ナッキーに憧れるノンノは、彼女の親友になりたいと願う。だがその日から、彼女の歯車が少しづつ狂っていき…。
「紫のアリス」が面白かったので、同作家の作品を読むことにした。だが、読んで驚いた。「紫のアリス」とは全くタッチが違うのだ。後から知ったのだが、この作家、作品によってタッチをまったく変えるらしい。引出しが多いと言うか、この変貌は凄すぎるよ。さて本作は二部構成になっており、前半が1975年で、後半が1996年となる。前半部分は完全に青春もの。基本的に青春ものは好きなのだが、この作品に関してはあまり面白くなかった。特に主人公のノンノがバカで軽薄な娘の代表選手のようなキャラで、読んでいて一向に感情移入が出来なかった。ところが、前半の中ほどから不可解な謎が少しづつ展示され、段々と面白くなっていく。そして、何が起こっているのかはっきりしないラストで、一気に盛り上がる。この作家、ホント読者を乗せるが上手いよなぁ…っと感心した。
そして続く後半部分。この作品が本当に面白くなっていくのは、実はここから。後半は前半とうって変わって、松本清張を思わせる本格ミステリーとなる。ここで前半で張り捲っていた伏線が、どんどん生きてくる。更に二転三転するストーリーとゾクゾクする展開で、どんどん物語に引き込まれる。この辺りの凄さは半端じゃない。もうひとつ面白いのが、この作家独特の「揺らぎ」。ひとつ例を挙げれば、顔のない死体と言うのは、人間の入れ替わりと言うのがミステリーの基本だ。だが、この基本もこの作品では当てにならない。一体火事で死んだのは誰なのか?、生き残ったのは誰なのか?。真相をつかんだと思っても実は違う、今度こそ真相だと思ってもやはり違う…っと言った何が真相で何が虚偽なのか一向に分からず、揺らいでいく。「紫のアリス」のときにも感じた、この「揺らぎ」は他の作家では味わえない、この作家の独特の面白さだと思う。それにしても、前半部分で明らかに真相が分かるように書いているのに(後から考えて)、言われるまでそれがまったく分からなかった。ミステリー読みとしては悔しい限りだが、これがこの作家の上手いところなんだろうな。また尻上がりにテンションアップしていく展開は見事としか言いようがないし、最後に青春ものとして幕を下ろすのが実に上手い。いやはや脱帽です。これは間違いなく傑作ミステリーだ。
今日のアニメ
・スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター- #11「ハルパーの鎌」
・ひだまりスケッチ #6「7月14日 ひんやり・まったり 」(再々見)
今日のドラマ
・ヒッチコック劇場(第2シーズン) #60「汝の敵を」
会社の金を横領したチャーリーは、詰め寄る経営者を何とか誤魔化そうとするが。…コミカルなタッチで悪くない。意外とはハードなラストも良い。