真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「天外消失(早川書房編集部・編/早川書房)」、読了。
嘗て「37の短編」と言う名アンソロジーがあった。それを復刻させたのが本書だが、はっきり言って同書の劣化版でしかなかった。「37の短編」はその名の通り、37編の短編を収録していたが、本書に収録されているのはその半分にも満たないたったの14編。あとがきで紙面の都合だとか、(未収録の作品は)別の短編集に収録されているとか、書かれていが、要は著作権が取れなかっただけだろう。まぁ、それでも現在では読むことが出来ない作品が大半なので、読む価値はあると思うけど。でも、ねぇ。以下、作品ごとにコメントする。
「ジャングル探偵ターザン(エドガー・ライス・バロウズ)」→チーカをさらった類人猿を追うターザン。…これって、秘境小説ってだけで、ミステリーじゃないと思うが。★★☆☆☆
「死刑前夜(ブレット・ハリディ)」→最悪の条件で再開した鉄道工事を受け持った私は、サムを言う男と出会い、彼を相棒に加える。…一見ミステリーっぽいが、ミステリーではなく、普通の人間ドラマ。ラストのオチや真相もすぐに見当がつくが、別にそれがメインの作品ではない。★★★☆☆
「殺し屋(ジョルジュ・シムノン)」→フランス北部地方の農家を荒らしまわっているポーランド人窃盗団。メグレ警部は彼らを捕まえるために張り込みをする。そのメグレ警部に窃盗団逮捕の協力をしたいと言う男が現れた。…窃盗団の頭の正体と、捜査を協力すると言う男の意外な正体が読みどころ。まぁそれだけなんだが。★★★☆☆
「エメラルド色の空(エリック・アンブラー)」→トーマスと言う男が殺された。当初、死因は胃腸炎と思われたが、肝臓から砒素が検出されたため、警察は殺人と断定。犯人は毒の入手、動機、状況から、息子のハロルドとされた。だがチサール博士だけは、このことを疑問に思う。…チェコからの亡命者、チサール博士を主人公にしたシリーズの一編らしい(初めて知った>私)。良くも悪くも標準的な推理小説で、それ以上でも以下でもない。そのため、ひどく印象が薄い。★★★☆☆
「後ろを見るな(フレドリック・ブラウン)」→偶然に知り合ったジャスティンとハーレイは、偽札作りで一儲けする。だがある日、ハーレイが何者かに殺されて。…ミステリーと言うよりは、犯罪小説。だが、ラストに如何にもブラウンらしい意外な展開があって面白い。しかもそれで内容が変わるのでなく、あくまでも犯罪小説になっているのが良い。★★★★☆
「天外消失(クレイトン・ロースン)」→警察が尾行中の男が電話ボックスの中に入り、そのまま消失してしまった。2人の警官が見守る中でだ。しかも2人の警官が男が消失した電話ボックスを調べていると、電話が鳴り、消失した男の声が聞こえた。…奇術師探偵マリーニーが活躍する不可能犯罪ものの一編。本作を読むのは今回が初めてだが、この作品のトリックは知っていた。某所で偶然に読んだのだが、それほど有名なトリックだ。まぁ解答を知っていて読んだので、正当な作品の評価は出来ないが、トリックが人間の盲点をついた簡単なものなので、初読みの人は結構ビックリするかもしれない。そんな訳で、(→)位の点数が妥当じゃないかな。★★★★☆
「この手で人を殺してから(アーサー・ウイリアムズ)」→昔ふられた女が助けを求めてきた。逆上した私を女を殺し、そして…。…ミステリーと言うよりは犯罪小説。如何に死体を始末したかと言うことを細かに書いてある。結構グロな話だ。★★☆☆☆
「懐郷病のビュイック(ジョン・D・マクドナルド)」→とある小さな町で銀行強盗が起こった。犯人の手掛かりがつかめないまま、捜査が暗礁に乗り上げる…っと思ったとき、14歳の少年から、ひとつの手掛かりを掴む。…あっ、これだ。超有名な短編。ラストの意外な手掛かりが有名だが、現物を読んだのは初めて。最後の謎解きも面白く、名作と言って良い。★★★★☆
「ラヴデイ氏の短い休暇(イーヴリン・ウォー)」→父親が入院している精神病院で、父親の秘書をしている男と出会うが。…まったく面白くない。★☆☆☆☆
「探偵作家は天国へ行ける(C・B・ギルフォード)」→アリグザンダーは天使長の前にいた。彼はどうやら誰かに殺されたらしいが、自覚がない。天使長の許しを得て、殺される日の朝へ向かう。犯人を捜すために。…かなり変わったタイプのミステリー。あまり前例のないミステリーで面白いが、肝心の事件は凡作。★★★☆☆
「女か虎か(フランク・R・ストックトン)」→昔々、ある国の裁判は罪人に二つの扉の一つを選ばせていた。ひとつの扉の奥には残忍な虎があり、その扉を開ければ、食い殺される。もうひとつの扉の奥には絶世の美女がおり、幸福な結婚生活がおくれると言うものだった。ある日、この国の王女を手に入れようとした男がいた。このことが国王の知ることとなり、男は裁かれることとなった。男が王女に聞くと、王女は一方の扉を指差す。こう言う場合、女は愛しい男を殺されまいと、美女のいる扉を指すものか。それとも別の女に取られるものなら殺してしまえと、虎のいる扉を指すものか。男は王女の指差す扉を開けた。中から出てきたのは、女か?虎か?…リドルストーリーと言うものがあって、結末を書かずに、読者の判断に任せると言うもの。この小説は、その傑作と言って良いだろう。ちなみに以前私は、この文章を分析し、推理し、「出てきたのは虎である」っと言う結論を出したことがある。まぁ、機会があれば、詳細を公開しても良いけど。★★★★☆
「白いカーペットの上のごほうび(アル・ジェイムズ)」→マックは安酒場で上質な女を見つけた。話しかけると女も満更でなく、彼に付き合うらしい。だが女はひとつだけ頼み事があるという。…「上手い話には」ってタイプの話。それ以上でも、それ以下でもない。まぁ最後に男がとる行動が面白いと言えば、面白いが。★★★☆☆
「火星のダイヤモンド(ポール・アンダースン)」→火星に向かう輸送宇宙船から、宝石が消えた。密室とも言える宇宙船から、どうして?…SFとミステリーを融合させたストーリーで、結構目新しい。ただ事件の真相に意外性がないのが難か。★★☆☆☆
「最後で最高の密室(スティーヴン・バー)」→「ミステリーの中にろくな密室事件はない」と言う言葉に、ムーア博士が話し始めた、首を切断された被害者の密室事件。…かなり意表をついた真相だが、これって可能なのか?。★★★☆☆
お勧めは「後ろを見るな」、「天外消失」、「懐郷病のビュイック」、「女か虎か」の4編。
今日のアニメ
・乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつぁ♪ #12「約束です♪」(最終回)…特に傑出したシリーズではなかったが、そこそこ楽しめた。でも、第3期は要らないです。
今日の映画
・THE 4TH KIND フォース・カインド(アメリカ/2009年)
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