真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「八月の暑さのなかで ホラー短編集(金原瑞人(編)/岩波少年文庫)」、読了。
13編の短編ホラーを収録したオムニバス。ほとんどの作品が本読みなら一度は読んだ事がある、読んでなくても知っている有名な話ばかりだ。だから読まなくても良かったのだが(子供向きの訳だし)、読んでしまうのが本読みの性なんだよなぁ(苦笑)。ちなみに、大人向けの訳を収録してある本を参考までに記した。気に入った話があれば、そちらを読んで観ると良いだろう。
「こまっちゃった(エドガー・アラン・ポオ)」→文芸部の顧問の先生から、短編ホラー小説を書くように言われたサイキは。…奇妙の味ものか。しかもコミカルで(ブラックユーモアに近い)、ある意味新鮮。元はポオの「ある苦境」らしい。「らしい」っと言うのは、これだけ原作がよく分からないのだ。そんなタイトルのポオの作品、知らないしなぁ。何れにしろ、それを編者がラストの部分だけ膨らませて、現代風にアレンジした作品のようだ。ただ、最期の大時計のシーンに読み覚えがある。もしかしたら、どこかで原作を読んでるのかも。(後から聞いたところによると、岩波文庫の「黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇」に収録されている「『ブラックウッド』誌流の作品の書き方/ある苦境」が元ネタらしい。但し、私自身は内容未確認。参考までに)★★★☆☆
「八月の暑さのなかで(W・F・ハーヴィー)」→8月の暑い日、ジェイムズはふっと死刑を宣告された犯罪者の絵を描いた。その後、石屋で見たものは。…果たしてホラーと言って良いのか疑問だが、この緊張感と不気味さは確かにホラーのものだ。結末(&真相も)をはっきりさせない終わり方が印象的。結構好きな作品だ。★★★☆☆
※大人向きの訳は創元推理文庫の「怪奇小説傑作集1」に「炎天」として収録。
「開け放たれた窓(サキ)」→ナッテルは伯母の家で、開け放たれた窓を見た。家の女の子が語った話によると。…一見正統派怪談で、かなり好み。それ以上にラストの一行のオチが素晴らしい。上手い。こう言う話、好きだな。★★★☆☆
※大人向きの訳は、岩波文庫の「サキ傑作集」に「開けた窓」として収録。
「ブライトンへいく途中で(リチャード・ミドルトン)」→雪山の道を歩くわたしの前に、男の子が現れた。…怪談に違いないが、出来としてはまぁまぁ。ラストのオチで楽しませる作品だが、「開け放たれた窓」に比べたら、見劣りがする。★★☆☆☆
※大人向きの訳は、創元推理文庫の「恐怖の愉しみ(上)」に「ブライトン街道で」として収録。
「谷の幽霊(ロード・ダンセイニ)」→霧の深いある夕方、私は谷の幽霊と話した。…怖い話ではない。どちらかと言うと、物悲しい話だ。幽霊ものとしては異色で、悪くない。★★★☆☆
※大人向きの訳は、河出文庫の「時と神々の物語」に「谷間の幽霊」として収録
「顔(レノックス・ロビンスン)」→崖の上から覗くと、水面に顔が見えた。美しい女性の顔が。だが、ある日。…怖いと言うよりは物悲しい話。悪くはないけど、あまりピンとこない作品だった。★★☆☆☆
※大人向きの訳は角川書店の「怪奇と幻想3 残酷なファンタジー」に収録。但し、現在絶版。
「もどってきたソフィ・メイスン(E・M・デラフィール)」→心霊研究家のフェニックが一番怖いと思った話。それは、南フランスにある屋敷のお手伝いさんのソフィと、農夫の息子のアルシドの話だった。…間違いなく幽霊談。だが幽霊で怖がらせるのでなく、別の事で怖がらせるのだ。そう言う意味ではかなりの異色作。まさに、本当に怖いのは人間…ってところだ。★★★☆☆
※大人向きの訳は創元推理文庫の「怪奇小説傑作集2」に収録。
「後ろから声が(フレドリック・ブラウン)」→カーニバルの弾丸男・トニーは、妻のマリーとケンカした。そのため、弾丸男をやめ、家を飛び出そうとしたが。…まぁまぁかな。悪くはないけど。むしろ、冒頭の6行ほどのショートショートの方が好きだな。「はい、正解」って、なんて上手いオチなんだろう。★★☆☆☆
※大人向きの訳は創元推理文庫の「まっ白な嘘」に「後ろで声が」として収録。
「ポドロ島(L.P.ハートリー)」→ヴェネチアから6キロ沖にあるポドロ島。そこにぼくは、妻のアンジェラと共に向かうが。…化け物の正体も何も、最期まではっきりしない。そのためか、不気味さ、そして後味の悪さが絶品。怖いと言うよりは、薄気味の悪い話だ。★★★☆☆
※大人向きの訳は創元推理文庫の「怪奇小説傑作集2」に収録。
「十三階(フランク・グルーバー)」→人類学者のジェブリンはアマゾンに行くため、探検に必要な蒸留器をデパートに買いに行った。偶然に乗ったエレベーターで、それが13階にあると聞き、その階へ行く。だがそこは人っ子一人いない、がらんとした場所だった。…デパートを舞台にした「ある筈のない13階」と言う怪談話。実話怪談話の本などに収録されてもおかしくないくらい、リアルさのある話だ。その分、特に目新しさは感じられないが、不気味な余韻を残す終り方など悪くない。(この項の文章は私が以前書いたものの再録。しかし、以前読んだのも子供向きの訳。大人向きの訳で読みたいな。)★★★★☆
※大人向きの訳では、ハヤカワ書房の「十三階の女」に収録。但し、現在絶版。再版してくれ>ハヤカワ。
「お願い(ロアルド・ダール)」→子供は絨毯の上を歩く。赤と黒の部分を避けて、黄色のところだけを。…現実だったのか、子供の空想だったか、はっきりしないので、ホラーかどうかが不明だが、子供の心理をよく描いた作品ではある。★★★☆☆
※大人向きの訳はハヤカワ文庫の「あなたに似た人」に収録
「だれかが呼んだ(ジェイムズ・レイヴァー)」→レディ・キャロラインが住んでいる家には幽霊が出る。それも、キャロラインの寝室に。…怖い話ではなく、ラストの一行で「あっ」と言わせる作品。但し、最初の方で分かってしまった(笑)。悪い話ではないんだけどね。★★★☆☆
※大人向きの訳は創元推理文庫の「恐怖の愉しみ(下)」に「誰が呼んだ?」として収録。
「ハリー(ローズマリー・ティンパリ)」→学校にあがる前の幼い娘・クリスティンがハリーを言う少年の話をし始めた。彼女の前には誰もいないのに。…これは面白、いや怖かった。見えない存在が必ずしも邪悪ではないので少々物足りないが、それでもかなりの怖さだ。緊張感やスリルも一級品。★★★★☆
※大人向きの訳はハヤカワ文庫の「ロアルド・ダールの幽霊物語」に収録。但し、現在絶版。
今日のアニメ
・オオカミさんと七人の仲間たち #5「おおかみさん桃ちゃん先輩と鬼退治に行く」…肝心の鬼退治が、イマイチ盛り上がらなかった気がする。ところで最期に出てきた女、あれって、九尾の狐だよね?
今日の映画
・ショック集団(アメリカ/1963年)
精神病院で起こった殺人事件の記事を書くため、記者が患者になりすまして、病院に潜入するが、段々と気が狂ってくる。要はミイラ取りがミイラに…って言う話。確かに今観れば物足りなさを感じるものの、段々と正気を失っていく役者の演技が(周りの患者の演技も)、かなりのもの(それだけで終わっている気もするが)。