真夜中のティータイム
気になった事を気ままに書いていくブログです。 映画、アニメ、小説(SF、ミステリー、ファンタジー)、 ゲーム(主にRPG、格ゲー)の話題が中心になると思われます。
「東欧怪談集(沼野充義(編集)/河出文庫)」、読了。
ポーランドからロシアまで。東欧の短編怪談集。
卑怯な手で決闘相手を殺した男が遭遇する恐怖「『サラゴサ手稿』第五十三日(ヤン・ポトツキ)」、水滴から聞いた通りに行ってみたいが「不思議通り(フランチシェク・ミランドラ)」、愛しい女性と再会した男が彼女と密会を重ねるが「シャモタ氏の恋人(ステファン・グラビンスキ)」、周りは笑うデブばかり「笑うでぶ(スワヴォーミル・ムロージェック)」、日本の人面瘡に近い話(不気味と言うよりは奇妙な味。)「こぶ(シェク・コワコフスキ)」、読書中に飛ぶハエがうるさい「蠅(ヨネカワ・カズミ)」、美しい島に一人の少女が降り立つが(吸血鬼を言うよりは死神。)「吸血鬼(ヤン・ネルダ)」、嘗て悪魔と取引をしたファウスト博士の家に一晩泊った大学生の話「ファウストの館(アロイス・イラーセク)」、雪の上に足跡が家の前で突然途切れている「足あと(カレル・チャペック)」、呪われた絵の話「不吉なマドンナ(イジー・カラーセク・ゼ・ルヴォヴィツ)」、暗い小屋にやってきた男女「生まれそこなった命(エダ・クリセオヴァー)」、出会った男から聞いた話「出会い(フランチシェク・シヴァントネル)」、静寂に包まれた山小屋「静寂(ヤーン・レンチョ)」、駅にて「この世の終わり(ヨゼフ・プシカーシ)」、死にゆくドーディの側に来た悪い子「ドーディ(カリンティ・フリジェシュ)」、カエルの恐怖「蛙(チャート・ゲーザ)」、聖骨をくわえて逃げる犬「骨と骨髄(タマーシ・アーロン)」、プラハで暴れるゴーレム「ゴーレム伝説(イツホク・レイブシュ・ペレツ)」、魔物に悩まされる男の話「バビロンの男(イツホク・バシヴィス)」、中国人から買った美しい女性の像が夜になると「象牙の女(イヴォ・アンドリッチ)」、とある奥方の話「ルカレヴィチ、エフロシニア(ミロラド・パヴィチ)」、少女が手鏡を見ると「見知らぬ人の鏡(ダニロ・キシュ)」、死んだ筈の亭主が戻ってくる「吸血鬼(ペトレ・M.アンドレエフスキ)」、一万二千頭の牛を連れた男の話「一万二千頭の牛(ミルチャ・エリアーデ)」、愛しい妻の行方「夢(ジブ・I.ミハエスク)」、 「母の挨拶」、「新開発地区」、「手」、「小さなアパートで」の4エピソードからなる「東スラヴ人の歌(リュドミラ・ペトルシェフスカヤ)」(「母の挨拶」→人生に失望した男の前に度々現れる姉。「新開発地区」→無理やり結婚させられた男が妻を殺す。「手」→妻の死から始まる奇妙な物語。「小さなアパートで」→隣室で起こった奇妙な出来事
アメリカやイギリスの怪談とは違い、恐怖よりも人間ドラマに重点を置いている。そのため、悪くはないんだが、怪談としては少々物足りないかな。それでも、「シャモタ氏の恋人」、「笑うでぶ」、「ファウストの館」、そして「東スラヴ人の歌」内の1エピソード「母の挨拶」はなかなか面白かった。「シャモタ氏の恋人」はよくある話で新鮮味はないけど実に面白いし、「笑うでぶ」はラストのセリフが凄すぎるし、「ファウストの館」は幽霊屋敷ものでなく、落ちていく人間の話と言うのが新鮮、「東スラヴ人の歌」内の1エピソード「母の挨拶」は最後で分かるある事実が実に良い。ただ、「足あと」だけは良くない。出だしは魅力的なんだが、別に真相もその後の展開もなし。「なんじゃ、そりゃ」って感じ。そんな訳で、「シャモタ氏の恋人」、「笑うでぶ」、「ファウストの館」、「東スラヴ人の歌」の「母の挨拶」が★★★★☆、「足あと」が★★☆☆☆、それ以外が★★★☆☆。
今日の映画
・クロウ・飛翔伝説(アメリカ/1994年)
再見。…なので、以前書いた感想を再録します。
…「人が死ぬと、その魂はカラスが霊界に運ぶと信じられていた。だが、死があまりにも残酷な時、魂は悲しみのため安まることがない。そんな時カラスは、その不条理を正そうと魂を連れ戻す」。エリックとシェリーは結婚式の前日に殺された。1年後、エリックは死の国から蘇り、殺した奴らに白塗りのピエロメイクに黒装束で復讐を開始した。…現代の都市がまるで中世の町に見えるような美術感覚が素晴らしい。クライマックスとクライマックス近くの二つの銃撃戦が見せ場。しかし惜しい事に撮影中の事故で、これがブランドン・リーの遺作になってしまった。その後アレックス・プロヤス監督がデジタル合成で何とか完成させたのは有名な話(ブランドン・リーの顔とスタントマンの全身を合成)。
…う~~ん、今読むとちょっと褒め過ぎかな。でも、まぁ、感想はほぼ同じ。あと、今見ると明らかに、「バットマン」のジョーカーの影響を受けていることが分かる。★★★★☆